本書では、現役医師が、マンガを織り交ぜながら、「がん検診の受け方、使い方」を医療サイドから解説した一冊です。
えええっ!!!
まだバリウム検査、
受けているんですか?
と本紙の帯にもありますが、医者自身が受けないバリウム検査は止めてしまえばいいですね!
肺がんや胃がん、大腸がんなど、日本人にとってメジャーな「がん」を見つける方法から、男性ならば誰もが気になる前立腺がんや前立腺肥大、ED(勃起不全)について、若い女性にも広がっている乳がんや子宮頚がんについて――。
日本人に多い10のがんについて、正しいがん検診の受け方、使い方を紹介すると同時に、最近、取り沙汰されることの多い「PET検診」や少量の血液や尿などからがんを見つけるとうたう「血液がん検診」など、「がん検診」をめぐる最新のテーマも、マンガを用いながら、分かりやすく解説されています。
こんなあなたにオススメです
・がん検診を受けようか迷っている
・毎年健康診断を受けている
・がん検診懐疑派の方
オススメ、共感を得たフレーズ
1章 肺がん:がんの中でも死亡数は第1位! 喫煙者は要注意
・受動喫煙が乳幼児に与える影響
・レントゲン検診で死亡率を30~60%下げるといわれている
⇒定期的に検診をしているのは、日本だけで海外では行っていません
職場の検診で肺のレントゲンを義務化されているのも当然日本だけです
2章 胃がん:罹患数は減少傾向。だがピロリ菌の除菌は”万能”ではない
・胃がん検査にはバリウムより胃カメラを!
医者で自分の検診でバリウムを飲んでいるひとはほぼいない
⇒であれば、バリウム検査そのものをなくすべきですが、”既得権”があるのでやめないのでしょう
3章 前立腺がん:男性なら誰もが気になるがん、前立腺肥大やEDとの関係は?
・早期の前立腺がんを「手術するグループ」と「経過観察するグループ」に分けたところ、20年後の死亡率は変わらなかった
⇒前立腺がんだけではなく、同様な統計結果は多く出ています。治療によるリスクと悪性度が低いことから手術を見送る選択もできますね
4章 肝臓がん:お酒好きは要注意。肝臓だけではない、アルコールの破壊力
・危険なのは「弱いけれど、少し飲める人」
・アルコールは少量でも脳にダメージ
5章 食道がん:急増中の逆流性食道炎と食道がんの悩ましい関係性
6章 大腸がん:死亡数はがんの中で2位! 大腸カメラは辛い? 辛くない?
・大腸カメラは、胃カメラ以上に術者の技量が検査結果を左右する
7章 小腸がん:消化管の「暗黒大陸」、カプセル内視鏡が検査で活躍
8章 膵がん:進行が速く、悪性度も高い! とにかく「避ける」しかない
9章 乳がん:若い女性は要注意、検査で見逃さないために
・マンモグラフィーの一番の問題は病変の見逃しがあること
⇒日本でも一部報道されていますが、がん検診の欧米との違いは大きいです
乳がん検診マンモグラフィーの受診は慎重に、米医学界が弊害を懸念
10章 子宮頸がん:「HPVワクチン」問題、結局受けるべきなのか
11章 PET検査、血液がん検診:最先端のがん検査技術、果たしてどう使えばいい?
・血液がん検診は、画像検査で分かるもの以外は分からないので重要視しすぎない
12章 がん検診懐疑派への反論:制度は満点ではないけれど、受ける価値はある
・「がん検診で寿命が延びる」証明は難しい
この本の評価
■内容 :4.0
■読みやすさ :4.5
■実践しやすさ :4.0
■健康リテラシー:3.5
■総合 :4.0
今日も、最後までお読みいただきありがとうございました!
著者
近藤 慎太郎(こんどう・しんたろう)
医学博士。1972年東京都生まれ。北海道大学医学部、東京大学医学部医学系大学院卒業。日赤医療センター、東京大学医学部付属病院を経て、山王メディカルセンター内視鏡室長、クリントエグゼクリニック院長などを歴任。消化器の専門医として、これまで数多くのがん患者を診療。年間2000件以上の内視鏡検査・治療を手がける。豊富な診療経験の中で、医療についての情報が世の中に正しく伝わっていないことを痛感し、講演や様々なメディアを通じて啓蒙活動を行っている。特技はマンガ。本書のマンガも執筆した。著書は『がんで助かる人、助からない人』(旬報社、2017年)。ブログは「医療のX丁目Y番地」。
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