著者である近藤誠先生は、昨年(2022年)8月13日に突然体調を崩し、虚血性心不全で亡くなられました。
多くの書籍も出版し、勇気ある医師としてリスペクトしていましたうちの一人でしたので、たいへん残念な訃報でした。
ご冥福をお祈りいたします。
注意! 健診・問診前に、必ず読んでください。
まじめに聞く人ほど早死にします。
医療業界を恐れない医師からの警鐘66
「病気」は医者がつくりだす!
「なぜ医師は、健康診断や人間ドックを受けないのか」
編集者のこんな疑問が、本書刊行の発端になりました。
彼が言うには、何人もの高名な医師たちと書籍を作ってきたけど、だれも人間ドックを受けていないし、これからも受けない、と語ったと(ちなみに、僕もそうです)。
それで彼が思ったのは、医師たちは「肝腎なことを知っているのに、一般の人たちに言わないのではないか」と。
結論を言えば、そのとおりです。
人びとは検査や治療に関し、いろいろな重要事実を医師たちから教えてもらえずにいます。
たとえばそもそも欧米には、職場での健康診断(健診)や人間ドックが存在しない、ということをご存じですか?
日本の医療は中高年に厳しい。
多くの医者たちが、健康な人々に病名を付けたがるのだ。
医療業界は治療対象となる患者をひとりでも増やし「生活習慣病」や「がん」を見つけ出すことに熱中しており、このままでは健やかに生きていくことも、死んでいくことも難しい。
たとえば、人間ドックでは「早期発見」されれば、早く治療ができ迅速に治せるというが、それが本当なら、まず医師が率先して人間ドックを受けるはず。
しかし、著者を始め多くの医師が人間ドックを拒否している事実がある。
人間ドックの実態と、「病気」が発見されたその後の展開を熟知している故ではないか。
だとすれば知らないのは、従順な患者予備軍ということになる。
医者が人間ドックを受けたがらない理由、医者が「言わない」事実を明らかにし、いつか必ず我が身に降りかかる”病”を前に、どう医者と関わり方を保てば我が身を守れるのかを伝えるたいへん貴重な一冊です!
こんなあなたにオススメです
・がん告知をされた
・がん治療で迷っている
・ご家族、ご友人ががん治療されている方
オススメ、共感を得たフレーズ
1章 人間ドックは「病気」をつくる場所
・健診の結果をふまえて医者に診てもらうと、寿命が延びるどころか早死にする
・職場や市町村の健診も日本だけの「奇習」
・がん検診に「効果がない」は、学者たちの共通認識
・欧米ではがん検診を廃止しようとしている
第2章 なぜ医者は、事実を「言わない」のか?
・今井雅之さんのケース
がんで亡くなったのではなく、抗がん剤による治療死です
死亡診断書では「がん死」とされていますが、これも虚偽の一種です
抗がん剤や手術のために亡くなっても、死亡診断書の死因欄には「がん死」と書かれる
医師は抗がん剤は効かないと知っている
・医者が告げる「余命」の意味とは?
余命とは抗がん剤で治療した場合の数値なのです
… 医師たちは、がん放置した場合を知らない
・死ぬ直前まで抗がん剤をやめない、医者の習わし
・医者は知っている、手術すれば「がんが暴れる」事実
・CT検査を受けると、がん発症リスクは16%増す
第3章 正しい「医者との付き合い方」
・病院へ行く人ほど、クスリや治療で命を縮めやすい
・ 日本ではコロナ禍以降、総死亡数が3万人減
・寿命を延ばしたければ、不要な病院通いと、クスリをやめる
・CT撮影はエックス線の300倍も被ばくする
第4章 高血圧薬は使わないほうがいい
・高齢になるほど、血圧が高い方が総死亡率が高い
・患者数を増やすため、「病気」に格上された高血圧
・生活習慣病のクスリは、全部やめていい
第5章 中高年のがんは、ふつうの「老化現象」
第6章 医者から、がんだと告げられたら
・胸部エックス線撮影は、発がん率を上げてしまう
・医者が言う「余命半年」に騙されてはいけない
・治療を受けることは患者さんの義務ではないし、断る権利もあります
第7章 病院では安楽な最期は迎えられない
・自宅で緩和ケアを受けるのがベストな選択
・「老人ホームで、がんを含めて自然死を700例以上みましてね。自然に任せればラクに穏やかに死ねるよう、われわれの体ができていることを知っていますから」 … 中村仁一医師
第8章 世間に溢れる「健康法」のウソ
・「推奨値」に沿って、減塩すると、短命になる
・BMI 30以上と19以下は、死にやすい危険域
男性24~26、女性22~24 が最も総死亡率が低い
・最も優れている運動は「スクワット」
この本の評価
■内容 :5.0
■読みやすさ :5.0
■実践しやすさ :4.5
■健康リテラシー:5.0
■総合 :4.5
今日も、最後までお読みいただきありがとうございました!
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著者
近藤 誠 (こんどう まこと)
1948年生まれ。1973年、慶應義塾大学医学部卒業後、同年、同医学部放射線科に入局。79~80年、米国へ留学。83年より同大学医学部放射線科講師となる。
がん放射線治療を専門とし、乳房温存療法のパイオニアとして知られる。2012年、「抗がん剤の毒性、拡大手術の危険性など、がん治療における先駆的な意見を、一般人にもわかりやすく発表し、啓蒙を続けてきた功績」により、「第60回菊池寛賞」を受賞。
2013年、東京・渋谷に「近藤誠がん研究セカンドオピニオン外来」を開設し、膨大な患者の悩みに寄り添い、また患者本位の治療を実現するため、医療の情報公開を積極的に進めている。著書にミリオンセラーとなった『医者に殺されない47の心得』(アスコム)、『患者よ、がんと闘うな』(文春文庫)、『眠っているがんを起こしてはいけない。』(飛鳥新社)ほか多数。
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