北アルプスの山小屋の中でも、黒部川の岸辺という特殊な環境にある源流の小屋、薬師沢小屋。
電波も届かない山奥で、どのような暮らしがあり、どのような出来事が起こるのか。
薬師沢小屋で働いて12年目になるイラストレーターのやまとけいこが、小屋開けから小屋閉めまでの時間軸に沿いながら、リアルな山小屋ライフを楽しい文章とイラストで紹介する一冊です。
こんなあなたにオススメです
・コロナ疲れ気味
・自然が恋しい
・毎日ストレス三昧
オススメ、共感を得たフレーズ
第一章 黒部源流のこと
・黒部源流と薬師沢小屋
さて この 黒部川 だ が、 いま から 四十 万年 前 は 本流 の 流れ が まったく 違っ て い た。
天気 の よい 夜 に 外 に 出れ ば、 三 六 〇 度 の 星 降る 夜空 の ドーム に 包ま れ、 言葉 を 失う。
第二章 薬師沢小屋開け
・入山
東京 での 暮らし と、 山小屋 での 暮らし は、 まるで 違う 時間 の なか に いる。
・電気と電波
電波 が ない こと によって、 ネット や メール、 電話 の 呼び出し 音 からは 解放 さ れる。 スマ ホ は 音楽 を 聴い て、 写真 を 撮っ て、 目覚まし を かける だけの 道具 に なる。
電波 が ない 代わり に、 普段 は 書か ない 手紙 を 書い たり する。 山小屋 で スケッチ し た 絵 などを、 そのまま 絵 ハガキ に する。
・従業員十人十色
最近 の 傾向 として は、 昔ながら の 山 屋 風 では なく、 牧歌的 雰囲気 を まとっ た、 ノマド 風 な 人 が 増え た よう に 思う。
たった ひと 夏 の 疑似 家族 では ある が、 私 にとって は 大切 な 仲間 との 一期一会 の 日々 で ある。
・ネズミとの攻防
生きる という のは 恐ろしい こと だ。 私 たち も この ネズミ の よう に、 日々、 誰 かの 体 を 食らっ て 生き て いる の だ。 肉 だって 野菜 だって 穀物 だって、 皆 生け し もの たち だ。
第三章 ハイシーズン到来
・バイオトイレと五右衛門風呂
あの 鉄 で でき た 五 右 衞 門 風呂 に 首 まで 浸かる と、 体 の 芯 まで ぬく と 温まる。
夜 に ランタン を つけ て、 沢 音 を 聞き ながら 入る お 風呂 は 最高。
ほんのり 薪 の 香り が し て、 至福 の ひととき だ。
・遭難事故と山岳警備隊
遺体 の 捜索 という のは 不思議 な もの で、 親族 や 近しい もの が 捜す と 出 て くる こと が ある と いう。
この 愛知 大 遭難 事故 に し ても、 最後 の ひとり を 捜し出し た のは、 その 学生 の 父親 だっ た。 しかも 見つけ た のは、 捜索 の 最終 日 だっ た。
「山 で 生活 し 山 で 生きる 人間 は、 金銭 などには こだわら ず、 自分 の できる 限り の こと は してやる もの だ。 自分 が 山 で どんな 災難 に 遭お う とも 限ら ない から、 人 には 尽くし て おく もの だ」
おわりに
・山小屋 の 暮らし は まるで 旅 の よう だ。
毎日、 何 が 起こる か わから ない。
シーズン に なれ ば、 お客 さん が 入れ代わり立ち代わり やって来 て、 旅 に 出 ず とも 旅 が やって来る。
この本の評価
■内容 :4.5
■読みやすさ :4.5
■実践しやすさ :3.0
■健康リテラシー: -
■総合 :4.0
今日も、最後までお読みいただきありがとうございました!
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著者
やまとけいこ
1974年生まれ。武蔵野美術大学油絵学科卒業。東京都在住。イラストレーター兼北アルプス薬師沢小屋従業員。東京都山岳連盟・東京YCC所属。イラストレーターとして『ヤマケイJOY』、PHP研究所、JTBなどで作品を発表。また、2013年からはフォックスファイヤーのTシャツデザインも手掛けている。
「山と渓流釣りが大好きで、給料をもらいながら山釣りをしようと目論み、薬師沢小屋で働き始めた。今年で12シーズン目、すっかり古株。黒部源流の自然と薬師沢小屋が、世界で一番好き。最近は、猟銃と狩猟の免許を取り、冬の間はバイルの代わりに鉄砲を担いで山を歩いている」
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